真っ白い壁の部屋にて…
その閉まった扉を確認してから、ゆっくりと前へと姿勢を変えると、小さく息を吐いた。
そして、辺りを見渡す。
そこは、洞窟とは違う、人の手が完全に加えられていると思われるような煉瓦作りの廊下だった。
床や壁に均等に積み重ねられている煉瓦が妙な感覚を覚えさせた。
一通り、周辺を確認してから、前方に視線を移す。
その視線の先には、煌々と輝く真っ白な光が見えた。
…?
その先は、あの光は…、出口?なのであろうか、それとも…。
色々な憶測が頭を駆け巡った。
男の子の言う通り、もう終わりなのかもしれない、となれば、あそこにあるのは、俺の知らない…、信じることの出来ない世界が待っているのではない…。
多くの不安が体を駆け巡った、が、A子は、必ずここにいると言う、確信?を持つことで不安を解消する事に気持ちを整えた。
その為に、瞳を閉じ、一つ呼吸を置く。
そして、瞳を開けると、意を決した様に光に向かって歩み始めた。
足元は、煉瓦であったが、意外としっかりした作りで、でこぼこの感覚は感じられなかった。
数十m程歩くとその煌々とした強く眩しい真っ白の光は、部屋から漏れている光とわかった。
尋常ではない輝きに目を手で覆いながら部屋に入る。
目が明るさに慣れてくるまでは、それほど時間は掛からなかった。
微かに慣れた光の中で、瞳を凝らしながら部屋の概要を見渡す。
その部屋は、真っ白い壁が印象的で、壁には大小様々な形の鏡が数えられない程並んでいた。
中央には、足の長い鉄製のベッドがあり、その上には……。
白いシーツをかけられ横たわっている人影が見えた。
そこにいたのは…A子?
確信は持てなかった、一度辺りを見渡し、安全を確認すると、そばに駆け寄った。
横たわっている人影の傍らに立つと、ゆっくりと顔を確認した。
そこにいたのは…A子であった。
自然に笑みが出くると、小さく息を吐き出した。
眠っている表情をしばしみていると、一昨日の情景が頭を駆け巡った。
唇の感触や暖かい胸の温もり、そして、小さく震えながらも一つになった時の微笑み、そして、熱く、同じビートを打った吐息…。
俺の胸で、多くの表情を持ったA子が弾けていた。
再び一つ呼吸を置いて、気持ちを整理する。
そして、彼女の安否を確かめた。
微かだがテンポの良い息をしていた。
…眠らされている…のであろうか。とにかく生きている、間に合った…。の気持ちで胸をなでおろした。
その時だった。
…ん?
俺は、後ろを振り返った。
確に誰かが後ろを通った気配を感じた。が、誰もいない。
鏡が無造作に飾られている真っ白い壁だけが静かに俺たちを見ているようであった。
辺りを壁、鏡を注意深くうかがう…。と!!
…ん?
今度は前の方で気配を感じ、ゆっくりと気配を感じた方に視線を移した。
心拍数が上がる。
恐怖であろうか、それとも…。
予感の様な感覚と共に、体全体が強張る感覚と血の巡りが悪くなる様な感覚に覆われた。
そして…。
A子のつま先が一番最初に視界に入り、その視界は、ゆっくりと上に向かって進んだ。
腰…胸…肩…顔…そして!!。
俺は、ゆっくりとA子の顔からその先にある影に視界を移した。
そこには!!
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