始まりの夢へ…
俺が昔見た、摩可不思議な夢の話しをしたいと思う。
何故?と思うだろう。
それは…。
今日、会社で昼寝をしていた時に見た夢が発端である。
その夢にちらっとだが彼を見た。
その男に、俺は無性に震えた…。
その夢の内容は…。
俺が、会社のトイレで用を済ませた夢であった。
用を済ませたかは定かでは無いが、その時、その男は、鏡の中から俺を見ていた。
真っ白の仮面で…。
冷酷でいやらしく輝く瞳で…。
鏡を見るのが怖い、…今でも…。
その男とは…。
…あれは、俺の記憶が確かなら22歳の時だったはずだ。
誕生日の近い冬だったはずだ。
いつものように眠りについた俺は、冷たい風が体を通り過ぎた感覚の中で目を覚ました。
そこは…、
霧に包まれた、公園が見える林の中であった。
深い霧が辺りを包み込み、ほんのわずかな範囲だけが視界に入っていた。
俺は何かに呼ばれている様に両手で辺りを確かめながら先に進んだ。
林を抜けると、霧は薄っすらと晴れ、月夜に輝きを満たした公園が視界に入ってきた。
その公園の中ほどには6本の木が三角形に生えている場所が目立つ様にひっそりと見えた。
俺は立ち止まる。
眼を凝らしてその場所を見ていると、その木の下にいる人影に気付いた。
…女だ!
その女であろう人影は、真っ白いドレスを着ていた。
その女は、俺の方へ背を向け立っていた。
長く背中中ほどまである髪には、艶があり、印象的な色の配分を見せていた。
白と黒…。
俺は、その場で少し女の様子を伺った。
…これは夢?…。
そう思っていた。
どうしたらいいのであろうかと悩んでいると、女は、ゆっくりと横に顔を向けた。
その方向へとゆっくり視線を移す。
すると、女が見た方向から黒いマントを羽織った男がゆっくりと近付いてきた。
俺は、これから何が起こるのか薄々気付いていた。
男はシルクハットを被り、襟の高いマント姿であった。
顔は見えない。
女の横に男が来ると、女の肩に手を回して何かを語りかけていた。
その後、女は小さく頷くとゆっくりと三角形を作り出していた木々の間へと歩み始めた。
男は俺に気付いたのか、こちらに顔だけ小さく向けた。
男の顔は……。
仮面?
真っ白く表情の無い仮面が異様に浮き立ち、黒く大きく空いた目の部分のその奥に瞳が不気味に浮き上がっていた。
俺は、体全体に痛い程の恐怖が走っていたが、逃げる事も無く、その場で男を凝視した。
男は何かを言っている…。
仮面が小刻に動いていた。
だが、俺には、聞こえない。
男はその後、女の後を追って歩き始めた。
…あの子は、ダメだな……。
何故か、そう思っていた。
…そして…。
俺は、目が覚めた。
何か心に残る夢だった。
うっすらと鳥肌がたっていた。
…が、全ては夢とその時は思って気にも止めていなかった。
…その時は…。
一年後の夢に繋がる夢とは……、
思ってもいなかった…。
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