現実へ帰る扉…
俺は、藁をも掴みたい気持ちで、その言葉を信じ願った。
【出口よ、この夢、この場所から逃れる扉よ…開け!!】と…
すると、壁に小さめの扉が現れ始めた。
…助かった…。
俺は、そう思いながら、振り返り男を見た。
すると、男は俺達を凝視している。不気味に輝く瞳で…。
時間は無い!!
扉がはっきりとした形になったのを確認すると、咄嗟に扉を開け、A子をその扉へと送った。
「行け!!」
「でも…」
「大丈夫だ、早く!!」と
A子を扉の向こうに押し出す。そして。
次に俺が扉から出ようとした時に!!
強い力で後ろから首と顔に手がかかり、後ろに引っ張られた。
「お前だけは帰さない!!」
男の声がすぐそこから聞こえた。
激しい息遣いが耳元で感じられ、恐怖が走った。
男は、しゃがれた声で言う…。
「気付かないか…。気付いているんじゃないか…この夢、この現実…お前の心…お前の気持ち…俺は、はっきりと感じた、お前のその中にある輝きを…。戻る事は無い…。取引の時に心が揺らいだろう?」
「うるせぇ~、なに言ってやがんだ!!」
「お前だけは、帰さない!!許さない!!その意味を…。」
と力が込めれた感覚が、男の指先から伝わり、そして、引っ張られている痛さに負けそうになった。
が、俺は、最後の力を振り絞る。
現実へ帰るために…俺の生きる現実に帰るために…。
「痛って~、放せボケがぁ~、なに言われようと、これは【夢】なんだ!!」
と力一杯抵抗し肘打ちを食らわすと、男は仰け反りながら後ろに倒れ込んだ。
手の感覚が俺から消えるのを確認し、素早く扉を抜ける。
そして、再び念じて扉を閉め始めた。
扉がゆっくりと閉じる、その向こうから
「お前だけは許さないぃ~」
と言う声が怒りを纏っている感じに聞こえてきていた…。
俺はその場に崩れこむ、
そして…、
全てが終わった事を確認すると、全身が気だるくなり、そのまま眠りに就いた…。
どの位眠っただろうか、優しい声で誰かがささやいた。
『もう、起きる時間だよ』と…。
その言葉に俺は目を覚ました……。
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