【Introductory chapter】
あの夢から13年後の夏。
熱帯夜に寝苦しさを感じていた。
窓を開けっぱなしにしているが、生暖かい風が発汗を誘っていた。
ふと見た時計の針は、1時48分……。
俺は、扇風機を足元に向けた。
……あんま涼しくねぇ~な……。
瞳を閉じ、寝る事に集中しようとした時。
下から、若い女のあえぐ声と、テンポのよい、壁に何かが当たる音が聞こえてきた。
……くそガキが!……
毎晩続く、
その行為には、俺も怒る気にはなっていなかった。
…子供だけは、作るなよ……。
その行為の声を聞きながら瞳を閉じる
枕元の時計の針が、秒を刻む………。
チッ、チッ、チッ、……。
チッ、チッ、…チッ、…。
チッ、…チッ、…チッ、…チッ、………。
秒がズレはじめ、
俺は、薄い記憶が途切れはじめ……そして、
……眠りについた………。
ブァン!キシーン!
ブァン!バァン!キシーン!
その音に俺は、瞳をゆっくりと開けた時。
その時!
俺の目の前には…。
紫紺色の光が弧を描いていた。大きく…小さく…時には……。
その光に対峙する白銀の光、その光も弧を描いていた。時には大きく…そして、小さく……。
その光が交わる度に、その2色は細かな光の屑を散らす!
辺りは暗く、ゴツゴツした岩肌が光に映し出されていた。
白銀の光が真っ直ぐに上に向かって伸びた。
紫紺色の光は下へ伸びた。
二人だけの息が荒々しく響く。
一触即発の緊張感が、
その場の雰囲気でわかった。
次の瞬間!
大勢の人間が俺を通り過ぎて行く!!
白髪の少年…
長い黒髪の少女…
野球帽を被った少年…
短い髪の少女…
やくざ風の男…
巻き髪の女…
フードを被った少年…
体格の良い、筋肉質な男…
スタイルの良い、踊り子風の女…
整った顔の男…
白いスーツの女…
シルクハットの男…
背中を向けている女…
そして…
以前の恋人…K子…
微笑んでいる愛らしい少女…
3歳ほどの子供…
最後に…
嫌らしく輝く瞳…
そこには……。
俺は、目が覚めた。
まだ、辺りは真っ暗だった。
慌て時計の針を見ると、
1時54分……。
…嘘だろう?……。
下の部屋からは、最後の声と共に壁を強く打つ!
………。
俺は、この夢の意味を考えた。
何に繋がる夢なのかを考えた。
しかし…答えは出て来なかった…。
そして……、
一年後……。
【断片的な夢】から、この話しは続く…。
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