【謎の女】
俺は、その風景に何も疑問は持たなかった。
……あの夢は……。
以前、体験した夢とは違う、少しだけ異様な夢だったが、あえて気にする事は無いと思っていた。
俺は布団から出ると、冷蔵庫の中の牛乳を取り出し、コップにあけると、一気に飲み干した。
洗面台で歯を磨き、鏡に自分を映す。
…髭剃んなきゃなんないかな?……いいや、今晩剃ろう……。
と思いながら、無精髭に手を当ててみた、掌がチクチクする。
……これじゃ、もてないや……。
そんな事を思いながら、俺は仕事着に着替え、玄関に向かった。
玄関のドアを開けると、そこは……いつもと同じ風景であった。
俺は、一歩玄関から出てドアを閉めた。
その時、ドアに陰に女性が立って居る事に気付いた。
……!!
彼女は、黒いサングラスをかけ、肩まである黒い髪の女性であった。
「おはよう。」
彼女は、そう言いながら、俺の方を見ると微笑んで見せた。
…誰だ?この女……。
スレンダーな体の女性に俺は興味を引かれた。
「さっ、行きましょう」
と言いながら、俺の後ろを過ぎ、アパートの階段へ向かった。
…どこへ?…。
俺は、訳が分からないまま、その後について歩き出した。
階段を降りると彼女は立ち止まり、辺りを気にした。
俺は彼女の後ろで立ち止まり。
「なんだ?」
と聞くと。
その声に、彼女は「シッ!」と右手の人差し指を立てた。
次の瞬間。
俺は目を疑った。
無数の光の矢が彼女を襲う。
彼女は巧みにその光をよけながら、一人、そして、また一人と光を放つ者、夢で見た黒づくめの者達を、倒していった。
十数人いたのか、その風景は、圧巻だった!!
全て倒し終えると、深い深呼吸をつき、俺に手招きをした。
俺は、彼女のそばに行くと、彼女は微笑んでから駐車場へと向かった。
俺は何も言わずにその後を追う。
すると、彼女は俺の車ではない車の運転席に飛び乗り、
「乗って」と俺に言った。
…ポルシェのコンバーチブル?この女何者?……。
俺は、不信感を持ちながらも助手席に乗り込んだ。
彼女は俺を再び見ると、ホイールスピンをさせ、タイヤの擦れる音と白い煙を発しながら発進した。
そして、俺に言った。
「これは【夢】だから…」と…。
俺は、そのセリフになんの不信感も持たなかった。
ただ、時が来たかと思っていた。
そして、以前の夢?とは違う雰囲気に理解と対応が出来ていなかった。
俺達は、夢の世界へと進み出したのだった…。
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